関数 \( y = f(x) \) で \( x \) がごくわずか変化した時の \( y \) の変化量を求める。
微分で考えるのはつねに、ある変数が変化した際の解の変化量である。 関数 \( y = f(x) \) 解の変化量に規則性があると、それを関数の形で表すことができるようになる。この関数を
\[ f’(x) \]
と表す。微分前の関数 \( y = f(x) \) の解と変数の関係をより明示的に示す場合
\[ \frac{dy}{dx} \tag{1}\label{der_1} \]
と書く。 \( \eqref{der_1} \) を \( y \) を \( x \) で微分したと表す。
解の変化量は2点間の、解と変数の差で求めることができる。
\[ \begin{array}{ccc} \frac{ \text{解の変化量} }{ \text{変数の変化量} } & = & \frac{ \text{地点 1 の解} - \text{地点 2 の解} }{ \text{地点 1 の値} - \text{地点 2 の値} } \tag{2}\label{der_2} \end{array} \]
\( \eqref{der_2} \) の左辺は \( \eqref{der_1} \) ととても似ている形をしているのが分かる。 解、変数それぞれのごくわずかな変化量を求めているのが \( \displaystyle \frac{dy}{dx} \) でもある。
現代、最も広く用いられる微分の現代的記法のひとつはジョゼフ=ルイ・ラグランジュ により提唱されたプライム記号( \(‘\) )を用いた ラグランジュの記法 である。
\( \Delta x\) と \( \Delta y \)がそれぞれ \( x \) と \( y \) の有限微小変化量を表すように \( x \) と \( y \) の微小な変化量すなわち無限小変化量を表す記号として \( dx \) と \( dy \) を用いる。
何かをとりあえず微分する時などに使う。
現代的な偏微分記法はアドリアン=マリ・ルジャンドル が導入しているが、後が続かなかった。 これを1841年に再導入するのがカール・グスタフ・ヤコブ・ヤコビである。
複数の変数がある関数の内、1つだけの変数について解の変化量を求める(偏微分)の時に利用する。
関数 \( y = 2x \) で \( x = 0 \rightarrow 0.1 \) の時の \( dy \) は
\[ \frac{dy}{dx} = \frac{y_{0.1} - y_0}{x_{0.1} - x_0} \tag{1}\label{der_linear1} \]
\( \eqref{der_linear1} \) の \(y_{0.1} \) 、 \( x_{0.1} \) に \( x = 0.1 \) の時の値を、 \( y_0 \) 、\( x_0 \) に \( x = 0 \) の時の値を代入する。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{0.2 - 0}{0.1 - 0} \\[10pt] &=& \frac{0.2}{0.1} \\[10pt] &=& \frac{2}{1} \\[10pt] &=& 2 \end{eqnarray} \]
\( x = 0 \rightarrow 0.01 \) の間を見てみる。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{0.02 - 0}{0.01 - 0} \\[10pt] &=& \frac{0.02}{0.01} \\[10pt] &=& \frac{2}{1} \\[10pt] &=& 2 \end{eqnarray} \]
\( x = 0 \rightarrow 0.001 \) の間を見てみる。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{0.002 - 0}{0.001 - 0} \\[10pt] &=& \frac{0.002}{0.001} \\[10pt] &=& \frac{2}{1} \\[10pt] &=& 2 \end{eqnarray} \]
と、変化量をどこまで小さくしていっても \( x = 0 \) の時の \( y \) の変化量は \( 2 \) である事がわかる。
\( x = 0.001 \rightarrow 0.002 \) の間を見てみる。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{0.004 - 0.002}{0.002 - 0.001} \\[10pt] &=& \frac{0.002}{0.001} \\[10pt] &=& \frac{2}{1} \\[10pt] &=& 2 \end{eqnarray} \]
\( x = 0.017 \rightarrow 0.018 \) の間を見てみる。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{0.036 - 0.034}{0.018 - 0.017} \\[10pt] &=& \frac{0.002}{0.001} \\[10pt] &=& \frac{2}{1} \\[10pt] &=& 2 \end{eqnarray} \]
\( x = -1.000 \rightarrow -1.001 \) の間を見てみる。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{-2.002 + 2.000 }{-1.001 + 1.000} \\[10pt] &=& \frac{-0.002}{-0.001} \\[10pt] &=& \frac{2}{1} \\[10pt] &=& 2 \end{eqnarray} \]
どこをとっても \( y \) の変化量は \( 2 \) 。つまり \( y = 2x \) を \( x \) について微分、 \( x \) に対する \( y \) の変化量を求めたら常に \( 2 \) となった。 関数の微分を\( f’(x) \) とすると、 \( f’(x) = 2 \) と表せる。
関数 \( y = x^2\) で \( x = 0 \rightarrow 0.1 \) の時の \( dy \) は
\[ \frac{dy}{dx} = \frac{y_{0.1} - y_0}{x_{0.1} - x_0} \tag{1}\label{der_2exp1} \]
\( \eqref{der_2exp1} \) の \(y_{0.1} \) 、 \( x_{0.1} \) に \( x = 0.1 \) の時の値を、 \( y_0 \) 、\( x_0 \) に \( x = 0 \) の時の値を代入する。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{0.01 - 0}{0.1 - 0} \\[10pt] &=& \frac{0.01}{0.1} \\[10pt] &=& \frac{0.1}{1} \\[10pt] &=& \frac{1}{10} \end{eqnarray} \]
\( x = 0 \rightarrow 0.01 \) の間を見てみる。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{0.0001 - 0}{0.01 - 0} \\[10pt] &=& \frac{0.0001}{0.01} \\[10pt] &=& \frac{0.01}{1} \\[10pt] &=& \frac{1}{100} \end{eqnarray} \]
\( x = 0 \rightarrow 0.001 \) の間を見てみる。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{0.000001 - 0}{0.001 - 0} \\[10pt] &=& \frac{0.000001}{0.001} \\[10pt] &=& \frac{0.001}{1} \\[10pt] &=& \frac{1}{1000} \end{eqnarray} \]
変数の変化量を限りなく \( 0 \) へ近づけていくと、解の値も限りなく \( 0 \) へ近づいていくことが分かる。
\( x = 1.000 \rightarrow 1.001 \) の間を見てみる。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{1.002001 - 1.000}{1.001 - 1.000} \\[10pt] &=& \frac{0.002001}{0.001} \\[10pt] &=& \frac{2.001}{1} \\[10pt] &\fallingdotseq& 2 \end{eqnarray} \]
\( x = 2.000 \rightarrow 2.001 \) の間を見てみる。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{4.004001 - 4.000}{2.001 - 2.000} \\[10pt] &=& \frac{0.004001}{0.001} \\[10pt] &=& \frac{4.001}{1} \\[10pt] &\fallingdotseq& 4 \end{eqnarray} \]
\( x = 3.000 \rightarrow 3.001 \) の間を見てみる。
\[ \begin{eqnarray} &=& \frac{9.006001 - 9.000 }{3.001 - 3.000} \\[10pt] &=& \frac{0.006001}{0.001} \\[10pt] &=& \frac{6.001}{1} \\[10pt] &\fallingdotseq& 6 \end{eqnarray} \]
\( x \) の値に対しての \( y \) の変化量を見てみると
\[ \begin{eqnarray} x & \rightarrow & y \\\ 0 & \rightarrow & 0 \\\ 1 & \rightarrow & 2 \\\ 2 & \rightarrow & 4 \\\ 3 & \rightarrow & 6 \end{eqnarray} \]
このような関係になっていることが分かる。つまり、 \( x \) に対する \( y \) の変化量は常に \( 2x \) の割合で規則的に増加していくことがわかる。 この関数の微分を \( f’(x) \) とすると、 \( f’(x) = 2x \) と表すことができる。