正常に動くようになったようなので

買った MOTU 624 が正常動作するようになったようなので 2018-07-16 現在の所、現行の MOTU AVB シリーズの ディジタルミキサーを使ってみる。

参考:

ディジタルミキサーを使用する前に

Modeled vintage effects processing

Vintage processing with 32-bit float precision

Classic reverb. Compression modeled after the legendary LA-2A compressor. EQ modeled after British analog console EQs. The 624’s mixing and effects DSP engine delivers virtually unlimited headroom and the utmost in sound quality.

大々的に LA-2A と英国アナログコンソールの EQ をモデリングしましたと書いているが

本体を 4x サンプルレート(176.4/192 kHz)で起動した場合、エフェクト機能はオフになります。

Yes, the mixer effects/DSP are disabled at 4x sample rate (192k). This is because all of the DSP has been used up to support a 192k sample rate. You have to sacrifice the mixer effects to run the device at such a high rate. That’s how it works.

MOTU Support (2018/04/13 13:37:44 UTC)

MOTU AVB シリーズに搭載されている Reverb/EQ/Compressor/Gate等のエフェクトは 4x サンプリングレート、 すなわち 176.4/192kHz のサンプリングレートに対応していない。

176.4/192kHz の場合、 Effects are disabled at this sampling rate と言われて有効にできない。 DSP 使用率も最大値になってしまっている。

Each one of our interfaces has the same amount of DSP capability.

MOTU Support (2018/04/13 21:07:41 UTC)

この制限は624に限らず全てのMOTU AVB インターフェイスに共通している。 つまり、624 より高額な 1U サイズのMOTU AVB インターフェイスであろうと 192kHz で内蔵エフェクトを有効にできない。

すべての入出力チャンネルには、ラージサイズのデジタル・コンソールに匹敵する豪華な機能が搭載されています。 各チャンネルには3 BandのEQと可変ローカット、オートレベル機能、コンプレッサー、エキスパンダー、MS変換、 位相反転スイッチが用意されており、全チャンネルでセンド/リターン・バスを介してリバーブとエコーを利用できます。 しかも、Fireface UCXは192kHz動作時でもこれらの機能を提供します - これは、現存する各社のデジタル・コンソールを遥かに凌ぐ性能です。

RME TotalMix FX はちゃんと 192kHz でも動作する。

Features

  • UAD-2 QUAD or OCTO in an attractive external housing
  • Same potent DSP power as UAD-2 PCIe QUAD or OCTO
  • 44.1 – 192 kHz DSP Audio Accelerator for Thunderbolt Macs
  • Thunderbolt 2 connectivity (Thunderbolt 1 compatible)
  • Kensington Security Slot for anti-theft cables
  • Fan-free construction for silent operation

High Sample Rates

Some UAD plug-ins do not support sample rates of 192 kHz. These plug-ins are listed in the table below.

UAD Plug-Ins Unavailable at 192 kHz Sample Rate
Chandler GAV19T Amplifier
ENGL E646 VS Amplifier
ENGL E765 RT Amplifier
ENGL Savage 120 Amplifier
Friedman BE100 Amplifier
Friedman DS40 Amplifier
Fuchs Overdrive Supreme 50
Fuchs Train II Amplifier
Gallien Krueger 800RB Bass Amp
Sonnox Oxford Dynamic EQ

いくつか対応していないみたいだがUAD-2プラグインも 192kHz で動作する。

Antelope はどうなんだろう。

ここは頑張ってほしかった・・・と一瞬思ったが、ディジタルミキサーと考えれば

Sample rate
96kHz / 48kHz
  • Sampling frequency 96kHz
Sample rates 96 kHz

車とか家とか買える値段のディジタルミキサーですら (内部でアップサンプリングされていたりはするが) 96kHz 動作なので妥当、というかコスパ高いのかもしれない。

進めてゆく内に判明してゆくと思うが、MOTU AVB シリーズは Mac が繋がるディジタルミキサーと思ったほうがいい。

ディジタルミキサーとして、個人的にはあと Polarity Inverter と 0.1ms オーダーで最大 10 秒程度の Delay が付いてほしい。 Delay は Dry/Wet とか Feedback とかいらない単純に遅らせるだけのもの。

・・・脇道に逸れたが 96 kHz 以下にして動作させる。 最新のドライバを入れてMOTU AVB インターフェイスをつないだ状態で 右上にあるメニューから Open Pro Audio Control… を実行する。

右上のメニュー

開いたWebページ左側 Device タブ -> Configuration -> Sampling Rate からサンプリングレートを選択する。

2018-07-16 現在のUI

ルーティング概要

ルーティング設定に移る前に、そもそもの概念として MOTU の AVB シリーズではコンピュータの入出力、 オーディオインターフェイスの入出力、内蔵ミキサーの入出力を自由自在に割り当てることが可能となっている。

コンピュータの入出力、オーディオインターフェイスの入出力、内蔵ミキサーの入出力それぞれの間にパッチベイが存在していると考えるとわかりやすい。

概念図。上側の信号は、下側の好きな場所にアサインすることが可能。 オーディオインターフェイスの入出力とコンピュータの入出力が直接紐付かない。

これらの設定を行うのが Routing タブになる。

Routing タブが複雑なので少しずつ進めてゆく。

まずは画面の説明。初期状態ではこのような画面になっている。

初期状態

この画面は全てのカテゴリが折り畳まれた状態である。 全てのカテゴリを展開するには一番上、または一番右の▼をクリックする。 カテゴリ毎に展開、折りたたみをする場合はラベル上、または横の▼をクリックする。

最大数表示するととんでもない数の入出力が表示される。

大規模なステージや数十chのインスタレーションとか以外、まずもって必要ない入出力が表示されるので 左側のメニューから表示数を制限する。

各入出力の最大値は

コンピューターへの入力
128
コンピュータからの出力
128
AVB 入力ストリーム数
8 (8ch x 8 streams)
AVB 出力ストリーム数
8 (8ch x 8 streams)
ミキサーへの入力数
32
ミキサーからの出力
Group Outs
4 (96kHz) / 6 (44.1kHz)
Reverb Bus Outs
2
Aux Outs
6 (96kHz) / 14 (44.1kHz)
Main Mix
2
Monitor Outs
2
Mix Post Fx
same as Mixer Inputs

Mix Post Fx はミキサーへ入力された信号に、ミキサーの各種エフェクトがかかった信号が出てくる。 ただしフェーダーの音量は影響しない(プリフェーダー)。

画像では各種入出力を8ch にしてAVB Stream を無効にしている。

ここからシグナルのアサイン方法になる。 画面上側が各種入力元を、左側が各種出力先を表している。 コンピュータからの出力 1 を 624 のメイン出力に割り当てる場合、画像の様に From Computer1Main L の交点を有効にする。

上(入力) と 左(出力) の関連付けをマトリクス上で入力してゆく。

この例にならって好きなアサインを行う。 コンピュータの出力を一旦ミキサーに入れ、ミキサーの出力をオーディオインターフェイスの出力に回したい場合、 このようになる。

ルーティング例

ルーティング画面の操作はこれの繰り返しになる。 多いと大変。

ミキサー概要

AVB ミキサーはほとんど普通のMixerと同じ。 だけれどもMixing タブの初期の画面はこんな感じでそっけない。

フェーダーしかない・・・。

ここも左側のメニューで必要なものを表示したり、いらないものを隠したりすることができるようになっている。

各種エフェクト、入出力の表示/非表示の切り替え

ステレオバス(リンク)の作成や、入力のアサイン、プリセットとして保存などを上部のアイコンで行うことができる。

ミキサー上部に細かい設定がある。

エフェクトのON/OFFはエフェクト左上の電源ボタンで行う。

左上の DSP パワーを見ていると EQ などはあまりパワーを消費しないが、 Compressor や Reverb は多くの DSP パワーを消費する。

ただし、多くの DSP パワーを消費するのは最初のみで、ユニット数を増やしてもあまり DSP 消費量は変わらない。 また、エフェクトが有効な状態で非表示にしてもエフェクト自体は生きているので消し忘れに注意しなければならない。

各種ミキサーアウトへの送出は Aux Send / Group Sends の小さなフェーダ、または Aux Mixing で行う。

Legends に表示されるボタンでプリ/ポスト切り替え、PANの有効/無効、Solo などを指定できる。

Aux Mixing では左下のメニューで表示する Output バスを切り替える。

Sidebar Fader -> Follow ‘On Faders’ から各マスターフェーダーを右端にポップアップさせることができる。

Group Outs、Aux Outs のマスターを上げるとそのまま Main Mixに入ってしまうミキサーもあるが、 AVB ミキサーは各出力が独立しており、そのままではGroup/Aux共にMain Mixには干渉しない。

ブロックダイアグラムにするとこのような感じになっている。

個々の出力にAux / Group と名前がついているが実質全て Sub out である。

Mixしたい場合はRoutingタブで同じ出力先をアサインする。

一通りの説明を終えて、 96kHz でどの程度まで処理可能かを確認してみる。

16ch 全部で EQ 、Compressor を有効にしてまだ少し余裕がある。

自由すぎるルーティングからミキサー運用まで、これだけできれば十分な気がする。

いや、やっぱり極性反転とディレイはほしい。